☆ 海峡横断泳の方法(ソロの場合)
  1.ドーバー海峡横断泳を公認する団体の規則を簡単に紹介しよう。
   1−1. 出発日時の決定権
    出発日時の決定権は、泳者の予約した伴走船のパイロットにある。
    あらかじめ定められた泳ぐ期間(小潮期)に、パイロットより泳ぐ予定の24時間前に泳者へ連絡がある。
    その指示に従うこと。(泳者に決定権はない。)
   1−2. 出発と到着
    出発は、泳者の身体の全てが陸上にあり、オブザーバーの出発合図を持って出発とする。
    到着は、泳者の身体の全てが陸上にあり、オブザーバーの到着合図を持って到着とする。
    (到着地によって例外があるが、オブザーバーの判断による指示に従うこと。)
   1−3. 泳中の禁止行為
    泳中、泳者は“船舶に触れる”、“他の泳者に触れる”など、横断泳の補助的行為を禁止されている。
    ただし、他の泳者が1名まで、1時間までなら伴泳をしても良い。
   1−4. 水着
    標準的な水着を1枚着用のこと。ウェットスーツなど、保温、浮力の増加、抵抗の軽減などの
    目的を持ったものの着用は禁止。ただし、脂類を身体に塗ることは認められる。
  2.次にキンちゃん独自の方法を上げてみよう。
   2−1. 泳法
    クロール。3ストローク1ブレッシング。つまり3回手をかいて1回呼吸する。
    この方法だと左右に息継ぎすることになる。
    息継ぎのときに伴走船の位置確認をしているが、伴走船がキンちゃんの右側でも左側でも
    伴走することが可能になっている。(この泳法は、海を泳ぐ全ての泳者にお勧めする。)
    尚、ピッチ数は62〜70回/min。一般に長距離スイマーのピッチ数は、60回/min以下が多いが、
    冷水では体温上昇を目的に60回/min以上を勧める。
   2−2. 栄養補給
    「マキシム」(商品名)と呼ばれる炭水化物(エネルギー源)97%、
    ビタミンB2(炭水化物誘導体)2%を主体とした。
    栄養補給品に、グルコース(果糖:糖質)とお茶(味付け)を混ぜた液体300mlを40分毎に飲む。
    1回の栄養補給でご飯なら小さな御飯茶碗で軽く1杯分。パスタなら約半分。
    食パンなら1切れちょっとカロリーが摂取出来る。
   2−3. 補給方法
    「プラティパス」(商品名)と呼ばれる柔らかい携帯水筒に栄養補給品300mlを入れ、
    “貼るタイプ”の使い捨てカイロでサンドし加熱する。
    更にこれを保温バッグに収納し、約6時間経つと栄養補給品は60℃くらいに加熱される。
    船上より加熱された栄養補給品入りプラティパスにロープをくくりつけ、それを泳中のキンちゃんに投げ、
    受け取ったキンちゃんが栄養補給品を飲む。
    補給品があつ過ぎた場合、ドーバーの水温はほぼ16℃程度なので海水に浸けて置くだけですぐに冷却される。
    これをキンちゃんが受け取ってから飲み終わるまでを、10秒以内で完了するよう訓練した。
    泳ぎの停止時間を極力控えるためにである。
    この火を使わずに加熱する方法は、石井が考案した。
   2−4. 身体に塗る脂類(ラノリン)とスイムキャップ、耳栓
    泳中に身体に塗る脂類は、「保温用」ではなく、「擦れ止め」を目的に塗る。
    プールと違って海水はベタベタしており、そのまま泳ぐと肩や首、その他擦れる部分が
    “蚯蚓(ミミズ)腫れ”になる。
    尚、一般的に使用する脂類はワセリン(石油から精製されて作られたもの)だが、
    キンちゃんの場合はラノリン(羊毛から取れる脂)を塗っている。
    ラノリンの方が長持ちするからであるが、落とすのもワセリンより苦労する。
    保温目的ではシリコンのスイムキャップと耳栓を使用している。
    頭部を冷やさないように保護することは、全てのスイマーにお勧めする。
 3.これからドーバーを目指す人への必要なハードル(4つ)
   3−1. 水温16℃未満の海で6時間泳の経験
   3−2. ナイトスイミング(夜間泳)
    ナイトスイミングはケミカルライトを頭部、背部に装着する。
   3−3. ラフウォータースイミング(波高:2m程度)
   3−4. オシッコは泳ぎながら出来るようにしておく。
以上、よく聞かれる質問の答を上げた。